不動産売却が国民健康保険に与える影響とは?保険料アップは回避できる?
不動産を売却すると健康保険料が上がる場合があることをご存じですか。
ただし、全員ではなく一部の人に限られます。
そこで、どんなケースが健康保険料に影響するのか、その仕組みについて解説します。
「国民健康保険」加入者は要注意!不動産売却が保険料に与える影響
日本には「国民皆保険制度」があり、すべての人が何らかの健康保険に加入を義務付けられています。
おもなものとして、民間企業に勤める会社員が対象の「健康保険」、個人事業主や自営業、無職の人が対象の「国民健康保険」、公務員や教員、私立学校の教員が対象の「共済保険」、75歳以上の方が対象となる「後期高齢者医療保険」等があります。
このうち、不動産を売却して健康保険料が上がる可能性があるのは「国民健康保険」「後期高齢者医療保険」に加入している人です。
これらの保険料は前年度の所得に応じて決定されるため、不動産を売却して出た利益は所得として換算され、その金額によっては翌年の健康保険料アップにつながります。
ただし、不動産売却によって利益が出ない場合は保険料が上がることはありません。
不動産売却による国民健康保険料アップを回避する方法と知っておくべきこと
不動産売却による健康保険料のアップを回避する方法はないのでしょうか。
結論として、帳簿上の利益を抑えれば、結果的に保険料アップを回避できます。
そのためには所得費用と譲渡費用の領収証をきちんと管理しておくことが大切です。
不動産売却において健康保険料が値上がりする条件とは以下の場合です。
■売却代金 -(取得費用+譲渡費用)= 利益が出た場合
物件購入時にかかった「取得費用」と物件売却に要した「譲渡費用」も大きく関係するため、項目をしっかり押さえ、領収証等を保管しておきましょう。
「居住用不動産の譲渡にかかる3,000万円の特別控除」を活用する
マイホームを売却する場合、「居住用不動産の譲渡にかかる3,000万円の特別控除」を活用することで、保険料への影響を回避できる可能性があります。
一定の要件はありますが、売却代金から費用を差し引いたうえ、3,000万円を控除した譲渡所得がマイナスになれば保険料への影響はありません。
その他の控除を活用する
●公共事業のために不動産を売却する場合、「収益交換等のために土地等を譲渡」の条件に該当すると、最高5,000万円までの控除を受けることが可能
●再開発や被災リスクを抑えるといった理由で国や公共団体から不動産の譲渡を依頼されて売却した場合、税控除の特例が適用できる
●土地の区画整理をおこなうという理由によって、国や公共団体から不動産の譲渡を依頼されて売却した場合、「特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡」の条件に該当すると最高1,500万円の控除が可能
●農地を売却した場合、一定の条件を満たしていれば「農地保有の合理化等のために農地等を売却」の条件に該当すると最高800万円の控除が可能