不動産登記法改正による相続登記の義務化になる項目と原因について解説
現在は、相続で不動産を譲り受けた場合、登記をすることなく他の者に所有権を主張することができるため、相続登記の実施をしない場合が多くあります。
しかし、2024年をめどに、法改正による相続登記の義務化になる予定です。
今回は、義務化になる項目となぜ、法改正が実施することになったかについて詳しく解説します。
不動産登記法改正による相続登記の義務化の項目
法改正により、下記の内容が今後義務化になります。
相続登記などの申請
現在は、不動産の登記名義人が亡くなったときの相続登記の申請は義務ではなく、申請の期間期限もありません。
しかし、長い間、相続登記が申請されないため、相続関係が複雑になる、所有者が不明になるなどの問題がありました。
そのため法改定により、不動産の登記名義人が亡くなったときは、相続により不動産の所有権を取得した者は、相続の開始および所有権を取得したことを知った日から3年以内に不動産の名義変更登記を実施する必要があります。
もし、相続登記などの申請を実施しなかった場合は10万円以下の過料が処されます。
氏名・名称・住所変更の登記申請の義務付け
名義人の氏名・住所の変更していないことも、所有者不明の土地になる原因となっています。
そのため、不動産登記名義人の氏名・名称・住所に変更があった場合は、変更があった日から2年以内に登記申請が義務付けました。
もし、変更の登記の申請を実施しなかった場合、5万円以下の過料が処されます。
不動産登記法改正による相続登記の義務化の原因は所有者不明土地
所有者不明土地は、不動産登記簿などを調べても所有者が分からない、もしくは分かっても所在が不明で所有者と連絡がつかない土地のことです。
現在、所有者不明土地の面積は約410万ヘクタールで、九州本島の約367.5万ヘクタールより広い状況です。
今後はさらに広さが拡大し、2040年には約720万ヘクタールになり、北海道本島の約780万ヘクタールとほぼ同じ広さになります。
所在不明土地が増えると、その土地が管理されていないため、ゴミの不法投棄など近隣の環境が悪化する、その場所が災害危険区域の場合であれば、近隣の住民にとって災害リスクが高くなります。
また、行政や民間企業が土地を活用したくても、連絡が取れず、有効に活用できない場合があり、実際に2011年の東日本大震災の時は大きな影響が出ました。